徒然なるままに綴った短篇作品集なのです。




 どんな恋愛も空想も怪奇も、小説の主人公というのは至って平々凡々でなければならない。

 例えば、特に秀でた点のない平々凡々な主人公が、容姿端麗な美人や頭脳明晰な天才に好意を寄せられる。主人公は多情で不貞で浮気性だが、決して周囲に見限られることはない。
 例えば、特に秀でた点のない平々凡々な主人公が、或る日突然、何の前触れもなく勇者に定められる。主人公は無力で無知で無様だが、周囲の助けと犠牲で易々と生き延びる。
 例えば、特に秀でた点のない平々凡々な主人公が、完全無欠な探偵に見込まれてその助手に抜擢される。主人公は凡庸で凡愚で役立たずだが、何故か傍らに置かれて謎解きを傍観させられる。

 そう、主人公はいわば被験者で傍観者。常に受け身で周囲に合わせていれば、どんな難儀も周囲が何とかしてくれる。平々凡々な主人公の才を強いていえば、ちょっと運が良いということ。たまたまモテ期到来、たまたま異世界へワープ、たまたま怪奇事件に巻き込まれる。

「──つまりそう、悪魔の眷属である俺は主人公になれないのさ。光に忌み嫌われた俺を祝福する天使など在りは……ぐっ!? ひ、左手があああ……っ!」
「黙れ、中二病。」

  
 

「……お前が鎮まれ。」

FIN.



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