要するに死亡率99%の短篇作品集です。



 月曜日はいつか共に暮らす家に帰りましょう。未来の良き妻として、美しい貴方の三歩うしろをついていく。
 けれど良き妻とは貞淑な妻だもの、婚前交渉なんてはしたない真似はしないわ。だから貴方の名前と部屋番号を記憶して、貴方の苗字を名乗る私を想像するだけに留めるの。だから不動産の情報で間取りを確認して、二人の生活を想像するだけでも許してちょうだい。

 火曜日は日課になるであろう朝の予行練習。可愛らしいエプロンを身に纏って、仕事に向かう貴方をそっと見送るの。
 それにしても貴方はお寝坊さんなのね、放るようにして置いて行った可燃ゴミにネットを掛け忘れているわ。愛おしい貴方が姑のような大家さんに叱られてしまわないように、夫の品格を保つこともまた妻の役目。

 水曜日は歌にもある通り哀しみに暮れる日なのかしら? 貴方と睦まじく愛の巣へ入っていく女が憎らしい。
 ゴミ袋から出てきた領収書で貴女の名前も電話番号も知っているのよ。優しい彼に付け込んで私たちの仲を引き裂こうなんて図々しいにも程があるわ。
 まあでもこれも何かの縁。彼に心惹かれた者同士、仲良くしましょうよ。

 木曜日は外食やコンビニ弁当ばかりの貴方に手料理を振る舞うわ。貴方にはいつまでもずっと私だけを愛していて欲しいもの、だから健康で長生きしてもらわないと。
 さあ、身も心も温まるシチューなんて如何かしら?

 金曜日は愛に満ちた日で、そして何よりバレンタイン。
 言葉では言い尽くせないほどの愛情をどうやって表そうか、貴方に私の気持ちをどうやって伝えようか、考えて考えて考えた挙句にようやく閃いた名案。

 嗚呼、なんて素晴らしいの!

 これは私の思考を曝け出して、それでいて貴方と一生一緒にいられる方法よ。レクター博士のように上手に熟せる自信はないけれど、どうぞポール・クレンドラーと同様の私を召し上がって。

St.Valentine
チョコレートより甘美

FIN.


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