要するに死亡率99%の短篇作品集です。



 午前6時51分発の上り電車。人も疎らな内に貴方は乗り込み、決まって扉のすぐ横に腰を下ろす。
 車内ではいつも読書をしていて、貴方がいる景色だけは美しい朝そのもの。二日酔いのサラリーマンや、化粧乗りの悪いOLとは訳が違う。少しパーマ掛かった黒髪に白い肌、周囲と同じスーツでも貴方だけが美しい。
 貴方の愛読書は青空を背にした樹木が描かれた表紙のそれで、書店で同じものを探して何度も何度も読み返した。

 “愛は最高の奉仕だ。みじんも、自分の満足を思ってはいけない。”

 奥手で聡明な貴方が私に宛てたメッセージ。密やかな愛の言葉。
 これを読み取った私は、全身全霊の奉仕を以て貴方の愛に報いようと、そう心に決めたのよ。
 だからこそ貴方の元に手料理を届け、だからこそ貴方の光熱水料を払い、だからこそ貴方の家を掃除し、だからこそ貴方に付き纏う女を殺し、だからこそだからこそだからこそ貴方に尽くしたというのに。なのに。
 貴方はいつまで経っても私に振り向いてくれなくて、あまつさえあの女を想って涙を流すなんていくら何でも薄情だわ。僅かばかりでもいいから私も満足させてちょうだいよ。

 ──だから、ねえ? 私と死んで?

4×9
CHICな君に恋した
SICKな私を赦して


FIN.


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