要するに死亡率99%の短篇作品集です。



 茹だるような暑い日だった。
 汗と埃の匂いにまみれた部屋は昼だというのに薄暗く、外気を取り込む口はその全てが固く塞がれていた。一応扇風機が首を振り続けているものの、生温い風が右往左往するばかりで暑さが和らぐ事はない。そんな中、此処に住む男女は部屋に似合いの万年床の上に裸体を投げ出したまま微動だにせず、何処から迷い込んだのか知れない蝿だけが唯一動く生命体として部屋に在った。

 此処に住む男は所謂ジゴロで、水商売で生計を立てる女に飼われていた。
 男はとにかく仕様のない人間で、昼間から酒を煽ってはパチンコに明け暮れ、文無しで帰宅しては煙草代を出し渋る女を殴る事も厭わなかった。それでも女が男を手放さなかったのは好意に他ならなかったのだが、手放した所で男が困窮しない事を女は知っていた。
 男は甚く均整の取れた容姿を持っており、声や仕種には色気があった。その上セックスも上手い。男の飼い主になりたがる好色は少なくなく、自分だけが困窮に置かれる事が許せなかった女は頑なに男を手放さなかった。

 残飯やゴミなど、一通り餌に止まった蝿は男の瞼で翅を休めた。
 部屋を仄かに青白く染めるブラウン管の中、その様子を眺めていた少女が無邪気に嗤いながら燥ぎ回る。その都度彼女の足元では粘着質で不快な音が生じ、地面を成す腐乱した死屍が踏みつけられる。何時の間にやら目を覚ました女は、其処に男の姿を認めて微笑んだ。

呪いのビデオ
「次の贄は だぁれ?」

FIN.


BOOKMARKBACKNEXT


⇒作品艫激rュー
⇒モバスペ脾ook
TOP