要するに死亡率99%の短篇作品集です。


 燦々と降り注ぐ陽、高く拡がる空。

 ペルデアの隙間から毀れる光は、微睡みに揺蕩う僕を覚醒へと誘った。気怠い身体を起こすと、練り込まれた薔薇の香が嗅覚を刺激する。
 この世界は眩暈がするほど煌々としていて、僕が幼少を過ごした鈍く重い灰色の世界とは掛け離れていた。そうして知ったのは、生来、僕の身には明朗が合わないということ。
 幽暗を求めて徘徊する僕は、純白の絹を纏わされたビスクドールの様相で。緋を差色にする姿はまさしくこの国の特産物──吸血鬼。

NOSFERATU

 これは自慢なのだけど、僕は容姿と運に恵まれていた。
 容姿が端麗だったおかげで、靴磨きからパンタローネの男妾となった。人間は努力する生き物だというけれど、それは大きな間違い。親がなくても、金がなくても、学がなくても、品がなくても、容姿が良いだけで成り上がれる。けれども、安息日が週に一度であるように、心安らかでいられるときはそう長く続かない。
 金も時間も持て余したパンタローネが小児愛の果てに行おうとしたのは、少年を神の贄とする儀式。
 あんたの脳ミソは何世紀で停止してしまったんだと可笑しくてたまらなかったけれど、おかげで僕は新たな自分──いや、本当の自分に出会うことが出来た。そう、目覚めたんだ。酒でも煙草でもセックスでもない娯楽に。

 美しい少年を組み敷いて、その丈の短いパンタロンを脱がせ、その腸を膣に見立てて欲を吐く。
 あのパンタローネも、こんな気分だったのかな? 皮膚を擦り合わせるよりナカに突っ込む方が直接的で、見ず知らずの母親の胎内を感じるようで、僕が絶対的な支配者のようで。どんな愛撫よりもキモチイイ。
 だから好きなんだ、邪魔な臓物を取り出してナカに突っ込むの。

 四つん這いで待つ以外の体位とか、ましてや騎乗位なんて最高に興奮する。下賎で下劣で下卑たる僕に馬乗りにされてどんな気分? ああ、死人が口利けるわけないか。
 律動の度に血の涎を垂らす彼を眺めながら、僕は慢心を従えて傲岸に嗤った。



FIN.


BOOKMARKBACKNEXT


⇒作品艫激rュー
⇒モバスペ脾ook
TOP