要するに死亡率99%の短篇作品集です。



「そういう屠殺は良くないなあ」

 背後から聴こえた声。
 振り返る寸暇すら与えられず、足首を引っ張られた私は無様に転倒した。咥内は土塊に侵され、唾とそれらを吐き出すや否や、足首の束縛によって逆さ吊りにされる。
 そのスネアトラップを確認した私は、目前に佇む仕掛人であろう人物を見て愕然とした。そこにいたのは、クラスで唯一優しかった彼そのひとで。

「君を追い詰めて追い詰めて追い詰めたら、君はクラスの誰かを屠殺するかと思ってたんだけど……ああほら、そういうニュースあったじゃん? 刃物を振り回して同級生の首スパッて。アレが見たかったんだけど、まさかニワトリとはねえ…………つまんないなあ」

 ──などと言うのだ。
 言葉を飲み込めずにいる私を余所に、彼の独白は淡々と続いていく。

「正しい屠殺はね、頚骨を折ったら血を抜くんだよ」

 彼は徐に大きな鉈を取り出し、私の首筋をなぞった。染みるような痛みの後、生温いものが首筋を伝う。
 殺される。急激に生じてきた恐怖が、歯を介してカチカチと悲鳴を上げた。

「そうそう、もっと怖がって。アドレナリンは分泌されればされるほど味が良くなるから。で、味が悪くならない内に素早く血を抜くんだ」

 あまりにも無邪気で無慈悲な彼は心底楽しそうに笑い、そして、思い切り鉈を振り上げた。

「こんな風に、ね?」


血溜まりに沈み逝く君

FIN.


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