要するに死亡率99%の短篇作品集です。



 事の発端は去る白昼に見た蟲である。

 左腕に痒みを感じて見ると、赤く腫れ上がった痼りがあり、その中央部には小さな穿孔があった。蚊にでも刺されたのだろう。そう思って、私は患部に軟膏を塗った。
 するとどうだろう、その穿孔から何やら糸屑のようなものが這い出して来るではないか。驚きつつも、元来“観察”に余念のなかった私はそれをまじまじと見つめた。
 一見すれば糸屑のような白い肢体。脚はなく、頭蓋など頭尾を定める器官も見当たらない。ただし咽頭骨格は発達しており、口鉤を確認することができた。
 どうやら私の皮下に棲息しているらしく、以来、皮膚が波打つように蠢く様を何度が目視した。

 このような“観察”を始めて二週間。麗らかに晴れ渡る今日、私は遂に蟲の餌食となった。
 右目に激痛が走ったと同時に頬に液体が這う感触がし、右手で抑えた其処には本来存るはずのモノが認められなカった。恐る恐る地面へと目を遣レば、右の空洞ニ収まッテいたであろウ眼球が転がっテヰる。
 轉がった眼球の傍ラにハ、以前見た姿トハ異なる黒い肢体と翅を持った蟲。私の眼球ニ愛着ヲ瞻た後、そレは迥カ彼方へと飜ビたって徃ッタ。

蝿蛆の食に関する報告
考察および結論は私を解剖した者に託す

FIN.


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