要するに死亡率99%の短篇作品集です。



 真夜中の冷たい敷布、その弛んだ皴を伸ばす爪先は貴方好みの真紅。
 だって私は貴方に柔順で従順だもの、貴方色に染めて染まって今やもう漆黒。

 貴方の頭を引き寄せて欲しても、貴方がくれるのは冷たく頑なな接吻で。貴方の愛が此処に無いことを否応なしに知らされる。
 本音を言えば哀しいけれど、傍にいられるだけで満たされるのも事実。私は何処ぞの女のようにわがままなんて言わないから。だからお願い、もう少し、あと少しだけ傍にいて。
 綺麗な硝子玉が二つ、私を見つめて沈黙する。見え透いた偽りの愛さえ囁いてくれないなんて貴方は意地の悪いひと。

 もう一度口付けて貴方の細い髪を指で梳くと、ずるりと厭な音がした。柔らかくなった頭皮が剥がれてしまったのかしら?
 後頭部を見ればやはり、粘着質な糸を引いて肉が崩れ落ちている。鼻を突く臭いでさえ、貴方の匂いなら愛おしいわ。私の愛は、貴方の全てを赦してしまうもの。

 でも、あの邪魔な手足だけは例外。

 先々週、可燃物と一緒に棄ててしまったけれど悪く思わないでね。だって、貴方が何処ぞの女の元へ行く足も、貴方が何処ぞの女に触れる手も、私と貴方を引き離す物種なら不必要だもの。

 ねえ、そうでしょう?

 真夜中の冷たい敷布、その弛んだ皴を伸ばす爪先は貴方好みの真紅。
 だって私は貴方に耽美し嘆美する者、貴方の血で染めて染まって疾うに漆黒。

RED=BLACK
腐り落つ肉片、
愛し君の一片。


FIN.


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