徒然なるままに綴った短篇作品集なのです。




 黒が滲む空は今にも泣き出しそうで、私は嬉々として天を仰いだ。

 午後からは予報通り雨となり、放課後の校庭は百花斉放。極彩色の傘が校門へ向かうのを確認した後、私は何食わぬ顔で貴方にこう言うんだ。

「傘忘れちゃった」

 ほんとは鞄に折り畳み傘が入っているけれど、嘘も方便とはよく言ったもので。私だけの秘密は、貴方と相合い傘をするための秘策。
 だって私、知ってるんだもの。「またか」とか「ドジだな」って溜息を吐く癖に、傘を開いて一言──

「ほら、入れよ」

 ──なんて、ぶっきらぼうだけど必ず言ってくれることを。
 無愛想な貴方の優しさを知っているから、私が貴方に惹かれるのは必然で。だけど、幼馴染みという安定した立ち置は捨て難くて。臆病な私は想いを喉に詰まらせたまま、いつまでも貴方の横顔を見上げていた。

 黒が滲む空はもはや大号泣で、私は嬉々として天を仰いだ。

霖雨
貴方の隣が私の居場所

FIN.



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