徒然なるままに綴った短篇作品集なのです。




 花弁が舞う晴天の今日、君は僕の知らない誰かと結婚する。

 ひとは誰しも忘れられない恋をする。終焉なんて無い、永遠なのだと、根拠も無いのに確信して。
 とても慈しみ、とても愛しているからこそ持てる確信なのだろうけれど、人間という生き物はどうしても慢心する。だからこそ、お互いを蔑ろにしたり、勘違いや言葉の綾でつまらない結末を迎えたりする。
 僕にとって、君との恋がそれで。

 君はずっと、ずっと僕の隣にいるものだと思っていた。だからあの日も、些細な喧嘩で飛び出した君を追い掛けはしなかった。どうせ帰って来ると、そう思っていたから。

 本当に大切なものは、失ってみないと価値がわからない。
 むかし聞いた誰かの言葉が、君を失った僕の心にぐさりと刃を立てた。

 そして4月1日の今日、君は僕の知らない誰かと結婚する。

「おしあわせに」

 だからエイプリルフールの今日、僕は君に嘘を吐いた。


真偽は僕にも判らない

FIN.



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